日本語表記:ジロ車 ジロに九六式十五糎榴弾砲を搭載したもの。画像では十加となっているが、砲身の形は96/15RHである。 ジロに九二式十糎加農砲を搭載したもの。 車体の形状。 スペック
第四陸軍技術研究所では1940年(昭和15年)秋から春頃にかけ、戦車に10cm榴弾砲を搭載するという技術本部総務部長のアイデアを検討した。 戦車の砲塔と車体の一部改造を要し、また弾薬収容の余積がないことから実用にならないと報告された。同時期の1941年(昭和16年)1月、ジロ車の試作が三菱重工東京機器玉川工場に発注された。 完成予定は1942年(昭和17年)3月、製造難易度は「難」と判定されていた。 その半年後、1941年8月の資料では自走式十加の名前で、以下のように規定されている。 ・重戦車の車体を利用しての、九二式十加の搭載を研究する。 ・超重戦車への対応、堅陣突破に用いる兵器として考案されている。 ・搭載する九二式十加は小架以上を利用する。また射界は俯仰-5度から+30度、左右各18度とする。 三菱重工の内部資料の日付と状況により、ジロ車の車体は1942年末、また1943年前半までには完成し、陸軍に引き渡されたと推定される。
完成したジロ車は15榴と十加、どちらも搭載できるようになっていた。 九二式十加を搭載したジロ車は、伊良湖射撃場で機能試験を行い、特に問題はなかった。 ジロ車は砲塔を全て撤去し、車体中央部から後部にかけて大型の密閉戦闘室を立ち上げ、この内部に火砲を収容している。 俯角5度、仰角30度、左右射界は各18度。
九二式十加は、初速765m/sで徹甲弾を撃ちだし、100mの距離から175mmの鋼板を貫通している。(射撃対象の防弾鋼板の種類や徹甲弾の弾種は記載されず不明)。 使用できる弾種は、九二式榴弾・九一式鋼性銑榴弾・九一式尖鋭弾・九五式尖鋭弾・九五式破甲榴弾(ベトン弾)・十四年式榴散弾など。(徹甲弾はおそらく一式徹甲弾)
九六式十五榴は、初速540m/sで36㎏の榴弾を撃ちだし、7000mから普通コンクリート30cmを貫通。 対戦車としては、重量21.04㎏の三式穿孔榴弾(HEAT)を発射でき、150mm貫通だった(距離は不明)。